就業規則の中で「副業」に関する記載がどこに書かれているのか分からないという悩みは多くの人が抱えています。
実際、企業によって副業の書き方や配置場所が異なるため、単に「副業」と検索しても見つからないケースがよくあります。
本記事では、就業規則のどの章・項目に副業が書かれていることが多いのか、どのキーワードを手がかりに探すべきかを分かりやすく解説します。
さらに、企業がよく採用する副業ルールの書き方パターンや、副業に関する記載が不明瞭な場合の対処方法まで詳しく紹介します。
就業規則の中で副業に関する項目が書かれている場所
企業の就業規則の中で副業に関する項目が記載されている場所は、一般的に「服務規律」「禁止事項」「兼業・副業の届出」などの章に含まれています。
これらの章では、社員が守るべき行動基準や会社への影響を防ぐためのルールが定められており、副業がその一部として扱われることが多いです。
特に「職務専念義務」に関する条文では、本業への支障を避ける観点から副業の制限が含まれることがあります。
副業が直接記載されていない場合でも、近い概念の条文から会社の方針を読み解くことができるため、関連項目を広く確認することが大切です。
服務規律(服務規程)にある「副業禁止・許可」に関する記載
服務規律には、社員の行動基準や守るべきルールがまとめられており、「副業」についてはここに含まれるケースが最も一般的です。
多くの企業では「会社の許可なく他の業務に従事してはならない」などの形で、原則禁止や許可制が記載されています。
また、会社の名誉を損なう活動や競業に当たる業務に就くことを禁止する条文があり、これらが副業の制限と結びついています。
服務規律の中で副業に関する重要なポイントを理解すれば、企業がどのような姿勢で副業を扱っているのかを把握しやすくなります。
就業時間外の行為を定める条文に含まれる副業ルール
就業規則の中には「就業時間外の行動」に関する記載が設けられていることがあり、ここに副業が含まれるケースもあります。
例えば「会社の業務に支障を及ぼす行為を禁止する」といった条文がある場合、副業も業務妨害の可能性がある行為として扱われることが多いです。
また、深夜の副業や体力を消耗する仕事については、健康管理面から制限される場合があります。
このような条文を確認することで、副業に対する会社の姿勢を間接的に理解する手がかりとなります。
兼業・副業の申請手続きが示される「届出・許可」関連の条項
企業によっては、就業規則の中に「届出」「許可」「申請手続き」などの章があり、ここに副業に関する具体的な申請方法が記載されています。
申請が必要な条件、副業の内容の提出方法、審査基準などが細かく示されている場合があります。
記載がない場合でも、別途「兼業届」や「副業ガイドライン」が存在することもあるため、関連資料の確認も重要です。
許可制を採用している企業では、この項目が副業ルールの中心となるため、最も重要な章となります。
懲戒規定の中で副業違反が明示されるケース
一部の企業では、副業に関する制限を明確に書かずに、懲戒規定で「許可なく他社の業務に従事した場合は処分対象となる」などの形で示していることがあります。
懲戒の対象として明記されている場合、副業に対する会社の姿勢は厳しめであると判断できます。
このような記載がある場合、就業規則のどこに副業が書かれているかが分かりにくいため、懲戒規定の確認は欠かせません。
副業が禁止または制限されているかどうかを確認するために、懲戒条項も必ずチェックすることが大切です。
副業の記載を見つけやすくするための就業規則の読み方
就業規則の中で副業に関する項目をスムーズに見つけるためには、章立てやキーワードの特徴を把握しておくことが重要です。
まず「服務規律」「禁止事項」「職務専念義務」「兼業」という単語が目次にあるかを確認すると、関連項目に辿り着きやすくなります。
企業によっては副業を直接「副業」と書かず、間接的な表現で示している場合も多いため、複数の章を横断的に読むことが大切です。
また、近年は副業を認める企業も増えているため、「申請」「届出」「許可」といった文言にも注目しましょう。
総則から関連章を探すポイント
就業規則の冒頭にある「総則」は、全体の構成や目的が記載されているため、どの章に関連事項がまとまっているのかを把握する手がかりになります。
総則に「服務」「勤務」「懲戒」「安全衛生」などの章が案内されていれば、その中に副業に関連する規定が含まれていることが多いです。
総則で示されている構成を確認し、関連がありそうな章を優先的にチェックすることで、効率よく副業のルールを探すことができます。
章立て(目次)で確認すべきキーワード
目次は副業を探す際に最も重要な手がかりとなります。
特に「兼業」「職務専念」「禁止事項」「服務規律」「懲戒」などの単語は、副業の記載が存在する可能性の高い項目です。
企業によっては「副業」という言葉が全く使われておらず、「他の職業に従事してはならない」といった形式で書かれているため、間接的な表現にも注意が必要です。
複数の章を丁寧に確認することで、副業の扱いがどのように位置づけられているかを理解しやすくなります。
「禁止事項」や「職務専念義務」に注目する理由
多くの企業では、副業に関する直接的な記述はなくても「職務専念義務」によって本業に支障が出る副業を禁止しているケースがあります。
また「禁止事項」の章には、会社の利益を損なう行為や競業にあたる活動を禁止する内容が含まれており、実質的に副業制限となっていることが多いです。
これらの章を確認することで、企業がどの程度副業に柔軟なのか、またどのような副業が許容されているのかを判断するための材料になります。
特に競業避止に関する条文は会社が重大な関心を持つ部分であり、副業を検討する際の重要なチェックポイントとなります。
副業が明記されていない企業でよくある構成例
企業によっては、副業に関する明確な記述が就業規則に存在しない場合があります。
その場合でも、服務規律や禁止事項の中に「会社の業務に支障をきたす行為を禁止する」といった条文が存在し、これが副業への指針となっているケースが多いです。
また、別途「副業ガイドライン」や「兼業届」が社内文書として用意されている場合もあるため、就業規則だけで判断しないことが重要です。
副業が明記されていないからといって自由に行って良いわけではなく、関連する複数の規定を確認する必要があります。
副業に関する就業規則の代表的な書き方とパターン
企業が就業規則に副業を記載する際には、主に三つのパターンが存在します。
「全面禁止」「原則禁止だが申請すれば許可」「原則自由だが一定の条件付き」という分類で、多くの企業がいずれかの方式を採用しています。
自社の就業規則がどのパターンに該当するかを把握することで、副業の可能性が広がるかどうか、申請すべきかどうかが明確になります。
また、企業が重視しているポイント(競業避止、健康管理、情報管理など)も書き方に反映されているため、条文からその背景を読み取ることが大切です。
全面的に副業を禁止するパターン
副業を「全面禁止」としている企業では、「会社の許可なく業務に従事してはならない」「他社の業務に携わることを禁止する」といった強い表現が用いられています。
このパターンは特に、公的機関や守秘義務が厳しい業種に多く見られます。
全面禁止の場合、懲戒規定に違反時の処分が明記されていることが多く、ルールを破ると大きなリスクが生じる点に注意が必要です。
ただし近年は国の副業推進の流れもあり、全面禁止から許可制へ移行する企業も増えています。
原則禁止だが申請すれば許可されるパターン
最も一般的なのがこのパターンで、「会社の承認を得た場合に限り副業を認める」といった内容が記載されています。
企業は申請書を提出させ、業務への支障や競業関係の有無、労働時間の合計が法令に抵触しないかなどを審査します。
副業を検討している場合は、申請手続きの流れや必要書類の内容を就業規則や社内ガイドラインで確認することが重要です。
許可制はリスク管理の観点から採用されることが多く、企業の立場と従業員の自由をバランスさせる仕組みです。
原則自由だが競業や健康管理に注意義務を課すパターン
近年増えているのが「副業原則自由」型で、「業務に支障がない限り副業を妨げない」と明記している企業もあります。
その一方で「競業に該当する内容は禁止」「本業のパフォーマンス低下が見られた場合は見直しを求める」など、一定の条件を設けていることがほとんどです。
特にIT企業や柔軟な働き方を重視する企業で多く採用されており、働き方改革の影響も強く反映されています。
自由度が高い反面、自己管理が求められるため、内容や労働時間を十分に整理した上で取り組むことが求められます。
副業の許可基準として使われる一般的な条件
企業が副業を許可するかどうかを判断する際には、いくつかの共通した基準があります。
代表的な基準として「競業に該当しないこと」「本業の勤務に支障がないこと」「労働時間が法定上限を超えないこと」「機密情報を扱わないこと」が挙げられます。
これらの条件は副業の自由度が高い企業でも同様に存在しており、安全に副業を行うための最低ラインとして設けられています。
許可申請が必要な場合は、これらの条件に適合するかを事前に整理し、スムーズに承認を得られるよう準備することが重要です。
副業に関する就業規則が不明瞭な場合の対応
就業規則に副業に関する明確な記載がない場合でも、会社の方針や運用を正しく把握することで、適切に副業へ取り組むことが可能です。
まずは関連する条文(服務規律・禁止事項・職務専念義務・懲戒など)を広く確認し、副業に影響し得る部分を把握することが大切です。
また、副業を始める前に人事や総務へ確認しておくことで、後からトラブルが発生するリスクを大きく減らせます。
さらに、近年は副業がガイドライン等で別管理されている企業も多く、就業規則だけで判断しない姿勢が必要です。
人事・総務へ確認する際の聞き方
副業について会社へ確認する際は、「就業規則に明記されていないが、会社としての運用方針はどうなっているか」を丁寧に尋ねるのが最も安全です。
例えば、「副業を検討しているので、許可が必要か」「申請書の有無」「審査基準」などを具体的に質問すると、より正確な回答を得られます。
直接「副業して良いですか?」と聞くよりも、会社のルールや運用を確認する姿勢を示すことで、角が立たずに情報が得やすくなります。
聞き方次第で、社員としての誠意や配慮を伝えることができ、トラブルを未然に防ぐことに繋がります。
就業規則以外に副業ルールが書かれる社内文書の例
企業によっては、副業ルールを就業規則とは別の文書で管理している場合があります。
例えば「副業ガイドライン」「兼業規程」「副業許可フロー」「副業申請書」などがそれに該当します。
これらは人事部門が都度更新しているケースも多く、就業規則より最新の運用に沿った内容が書かれていることが一般的です。
したがって、副業に関する情報を探す際は、就業規則だけでなくこうした関連文書も合わせて確認することが重要です。
社内の副業運用(非公式ルール)の把握方法
実際には、就業規則に記載されている内容と運用が異なる企業も存在します。
このような場合、直属の上司や同僚の経験談、過去の副業事例などを確認することで、実際の社内運用が見えてくることがあります。
ただし、非公式なルールは変わりやすいため、最終的には必ず正式な部署(人事・総務)で確認を取ることが重要です。
社内運用を理解しておくことで、副業におけるリスクを最小限に抑えた行動ができるようになります。
労働法の観点から見た「副業の扱い」の基本
労働基準法では、副業そのものを禁止していません。
しかし、企業は「労働時間の管理」「健康管理」「競業避止」「情報管理」などの観点から一定の制限を設けることが認められています。
また、複数の雇用契約を結ぶことで労働時間が通算されるため、法定労働時間や残業時間の規制に抵触しないよう注意が必要です。
法律上の基本を理解しておくことで、会社の副業規定と照らし合わせながら安全に副業を進める判断ができるようになります。
まとめ
就業規則の中で副業に関する情報を探す際は、まず「服務規律」「禁止事項」「職務専念義務」「兼業・副業の届出」といった項目を確認することが重要です。
企業によっては副業が明確に記載されていない場合もありますが、その場合も関連する条文から副業の方針を読み取れるケースがあります。
また、副業ルールは就業規則だけでなく、社内ガイドラインや副業ポリシーなど別文書で運用されていることもあるため、複数の資料を確認することがポイントです。
さらに、副業の扱いは労働法上の職務専念義務や競業避止義務などにも関連するため、法律の観点からも理解を深めることで、より安心して副業を進められます。
副業を始める前に、自社の規則がどのように定められているかを正しく理解し、トラブルを避けながら安全に取り組む準備を整えましょう。



