副業を2つ掛け持ちしていると、「このまま3つの仕事を並行して大丈夫なのか」「時間は回っているけれど、収入管理や税金まで考えると少し不安」と感じることがあります。
特に40代は、本業で任される仕事が増える一方、家庭やプライベートの予定も変化しやすい時期です。すでに副業を2種類続けている人は、さらに働く時間を増やすより、本業・副業A・副業Bの3つを一つの働き方として管理することが重要になります。
この記事では、副業を2つ掛け持ちしている40代の会社員を中心に、続けても大丈夫かを判断する基準、時間と収入の管理方法、税金や社会保険で確認しておきたいポイントを整理します。
この記事が想定している人
- 40代で本業のほかに副業を2種類すでに行っている
- 副業を始める方法ではなく、2つを無理なく続ける方法を知りたい
- 仕事量を増やすより、時間と収入を整理したい
- 確定申告や社会保険についても確認しておきたい
副業を2つ掛け持ちしても大丈夫?管理できる範囲なら可能
副業を2つ掛け持ちすること自体が一律に禁止されているわけではありません。ただし、本業を含めれば3つの仕事を並行することになるため、単純に「副業が2個だから多い・少ない」と判断するのは適切ではありません。
確認したいのは、仕事の数より総労働時間、疲労、収入、契約形態、本業への影響を自分で把握できているかです。
副業の数より本業を含めた総負荷で判断する
副業Aを週5時間、副業Bを週5時間行っている人と、副業Aだけで週20時間働いている人では、仕事の数と負担の大きさが一致しません。
そのため「2つ掛け持ちしているから減らすべき」と考えるのではなく、本業も含めて1週間の時間を確認します。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 本業 | 勤務時間、残業、通勤時間、繁忙期 |
| 副業A | 実作業時間、連絡時間、納期、移動時間 |
| 副業B | 実作業時間、連絡時間、納期、移動時間 |
| 生活 | 睡眠、食事、家事、家族との時間 |
| 休息 | 仕事をしない時間を確保できているか |
副業では、実際に作業している時間だけを数えがちです。しかし、メールへの返信、案件探し、請求書作成、移動、準備なども副業によって生じる時間です。
「作業時間」ではなく「副業によって拘束される時間」で考えると、実際の負担が見えやすくなります。
2つの副業が雇用契約なら労働時間の通算にも注意する
アルバイトやパートなど、複数の会社に「労働者」として雇用されている場合は、労働時間の扱いに注意が必要です。
厚生労働省は、労働基準法が適用される労働者として複数の事業場で働く場合、それぞれの事業場の労働時間を通算して管理する考え方を示しています。
一方、雇用ではなく自営業やフリーランスとして行う仕事については、労働基準法上の労働時間通算とは扱いが異なります。
副業Aと副業Bを同じ扱いにしないことが大切です。アルバイトなのか、業務委託なのか、自分で商品を販売しているのかによって、確認すべき制度が変わります。
40代で副業を2つ掛け持ちするなら確認したい5つの状態
すでに2種類の副業を行っている人の場合、「続けられるか」は売上だけでは判断できません。
長く続けるためには、次の5つを定期的に確認すると管理しやすくなります。
1.睡眠時間を副業のために削っていないか
最初に確認したいのは睡眠です。
本業が終わった後に副業A、休日に副業Bという生活を続けていると、一見スケジュールは成立していても、睡眠や休息が調整弁になっていることがあります。
仕事が増えたときに最初に睡眠を削る状態になっているなら、掛け持ち方法を見直すサインです。
予定表には仕事だけでなく、睡眠や食事、何もしない時間も先に入れておくと、空いているように見える時間へ仕事を詰め込みにくくなります。
2.本業の集中力が落ちていないか
副業の収入が増えても、本業でミスが増えたり、日中に強い眠気を感じたりする状態では、長期的には安定した働き方とはいえません。
特に40代で本業の担当範囲が広がっている場合、副業時間だけでなく、翌日に疲れを残さないことも重要です。
「副業が終わる時間」ではなく、翌朝に通常どおり本業を開始できる時間から逆算すると予定を組みやすくなります。
3.2つの副業の締め切りが重なっていないか
副業を2つ掛け持ちするときに負担になりやすいのが、作業量そのものより締め切りの集中です。
副業Aを月末納品、副業Bも月末対応にすると、普段は問題なくても特定の週だけ負担が急増します。
可能であれば、副業Aは週前半、副業Bは週後半など、作業日だけでなく締め切りのピークも分散させると管理しやすくなります。
4.それぞれの副業の利益が分かっているか
売上だけを見ていると、副業が本当に効率よく収入につながっているのか判断できません。
例えば月5万円の売上があっても、経費が2万円、作業時間が30時間必要なら、月3万円の副業とは意味が異なります。
副業Aと副業Bは収入をまとめず、それぞれ別々に記録することがポイントです。
5.どちらかを減らす基準を決めているか
副業を2つ続ける場合は、始める基準より「減らす基準」を決めておくと判断しやすくなります。
- 本業に影響が出始めた
- 睡眠や休日を継続的に削っている
- 収入に対して拘束時間が長すぎる
- 単価が上がらず将来性も感じにくい
- 連絡や管理に使う時間が増えすぎた
- もう一方の副業へ集中したほうが伸びそう
このような条件を事前に決めておけば、「ここまで続けたから」という理由だけで負担の大きい副業を抱え続けるのを防ぎやすくなります。
副業2つの時間管理は1週間単位で考える
本業に加えて2つの副業を行う場合、毎日の予定だけを管理すると、週全体の負荷が見えにくくなります。
おすすめなのは、1週間を一つの単位として本業、副業A、副業B、生活、予備時間に分ける方法です。
副業Aと副業Bの曜日をできるだけ固定する
毎日「今日はどちらをやろうか」と考えていると、判断するだけでも負担になります。
例えば、火曜と木曜は副業A、土曜午前は副業Bというように、基本となる曜日を決めます。
| 曜日 | 基本予定 |
|---|---|
| 月曜 | 本業のみ |
| 火曜 | 本業+副業A |
| 水曜 | 本業のみ・休息 |
| 木曜 | 本業+副業A |
| 金曜 | 本業のみ |
| 土曜 | 副業B |
| 日曜 | 予備日または休息 |
実際の曜日は仕事内容によって変わりますが、重要なのは副業をしない時間も予定として確保することです。
予定を100%埋めず予備時間を残す
本業が毎週同じ時間に終わるとは限りません。急な残業、家庭の予定、体調不良などが発生することもあります。
空き時間をすべて副業で埋めると、一つ予定がずれただけで副業Aと副業Bの両方へ影響します。
そのため週の中に、遅れを吸収するための予備時間を確保しておきます。
予備時間まで仕事で埋まる週が続くようなら、スケジュールではなく仕事量そのものを減らす必要があると判断できます。
作業時間と管理時間を分けて記録する
副業が2つになると、実作業以外の管理業務も増えます。
- メールやチャットへの返信
- スケジュール調整
- 案件の確認
- 請求書の作成
- 入金確認
- 経費の記録
- 確定申告に必要な書類整理
これらを無視すると「副業Aは月10時間しかしていない」と思っていても、実際には管理を含めて15時間以上使っていることがあります。
収益性を比較するときは、こうした時間も含めて確認しましょう。
副業2つの収入管理はAとBを分けて記録する
副業を2つ掛け持ちしている場合、銀行口座へ入った金額だけを見ていると、それぞれの副業がどれだけ利益を生んでいるのか分からなくなります。
月に1回、次の項目を副業ごとに整理すると判断しやすくなります。
| 項目 | 副業A | 副業B |
|---|---|---|
| 売上・給与 | 月ごとに記録 | 月ごとに記録 |
| 経費 | 副業A分のみ | 副業B分のみ |
| 利益の目安 | 収入と経費を整理 | 収入と経費を整理 |
| 使用時間 | 作業+管理時間 | 作業+管理時間 |
| 収益性 | 時間とのバランスを確認 | 時間とのバランスを確認 |
| 今後 | 継続・拡大・縮小 | 継続・拡大・縮小 |
収入ではなく手元に残る金額を見る
副業を比較するときは、売上額の大きさだけで判断しないことが大切です。
交通費、仕入れ、サービス利用料、機材費などが必要な副業では、売上と実際に残る金額に差が出ます。
「月にいくら売れたか」だけでなく「その副業を続けることで、時間とお金がどれだけ残ったか」で判断しましょう。
時給換算は副業を整理するときの判断材料になる
業務委託や成果報酬型の副業には時給が設定されていないことがあります。
その場合でも、1か月の収益と投入時間を記録しておくと、どちらの副業へ時間を使うべきか比較しやすくなります。
ただし、現在の収入だけで決める必要はありません。将来の単価アップにつながる仕事や、本業にも役立つスキルが身につく仕事であれば、短期的な収益性が低くても続ける意味があります。
副業を2つ掛け持ちするときの確定申告で注意したいこと
税金については「副業が2個あるから確定申告が必要」と単純に決まるわけではありません。
副業が給与なのか、業務委託などによる所得なのかによって確認する内容が変わります。
業務委託などの副収入は「20万円」を売上と間違えない
年末調整済みの給与所得者が給与・退職所得以外の副収入を得ている場合、一定の条件のもと、その所得金額が20万円を超えると所得税の確定申告が必要になります。
ここでいう所得は、原則として単純な売上ではなく、収入から必要経費を差し引いて計算する金額です。
「副業の売上が20万円を超えたら必ず確定申告」という覚え方だけでは正確ではありません。給与として受け取る副業と、業務委託などによる副収入では確認方法が異なります。
副業がアルバイトなどの給与なら判定方法が異なる
本業以外にも給与を受け取っている場合、原則として主たる勤務先以外の給与は年末調整されません。
国税庁では、2か所以上から給与を受けている人について、年末調整されなかった給与の収入金額と、給与・退職所得以外の所得金額との合計が20万円を超える場合などを、確定申告が必要となるケースとして示しています。
そのため、例えば「副業Aはアルバイト、副業Bは業務委託」という人は、2つを同じ計算方法で扱わず、それぞれの収入区分を確認しておくことが重要です。
20万円以下でも記録は残しておく
所得税の確定申告が不要となるケースでも、収入や経費の記録を捨ててよいとは限りません。
住民税は所得税とは扱いが異なるほか、医療費控除などを利用するため確定申告をする場合には、申告不要とされていた少額の所得も合わせて申告する必要が生じることがあります。
副業を2つ行っているなら、年末にまとめて整理するより、毎月記録しておくほうが負担を減らせます。
副業2つが雇用なら社会保険も勤務先ごとに確認する
副業がパートやアルバイトなどの雇用契約である場合は、社会保険の加入条件も確認しておきたいポイントです。
2026年10月から、短時間労働者の健康保険・厚生年金保険について、従来あった「所定内賃金が月額8.8万円以上」という賃金要件は撤廃されました。
2026年10月時点では、通常の労働者の4分の3基準を満たさない短時間労働者でも、対象となる事業所で週の所定労働時間が20時間以上、学生ではない、2か月を超えて雇用される見込みがあるなどの条件を満たす場合、加入対象となることがあります。
2か所で社会保険の加入条件を満たす場合がある
2つの勤務先それぞれで健康保険・厚生年金保険の被保険者となる条件を満たす場合、「片方だけ加入すればよい」とは限りません。
日本年金機構では、同時に2か所以上の適用事業所で勤務する場合、本人が主たる事業所を選択する「被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」の手続きを案内しています。
副業Aと副業Bの勤務時間を増やした場合は、収入だけでなく雇用契約と社会保険の加入状況もセットで確認しておきましょう。
副業2つを続けやすくする組み合わせ方
すでに2つの副業を行っている人は、「どちらが稼げるか」だけでなく、2つを組み合わせたときの負担を見ることが重要です。
時間固定型と時間調整型を組み合わせる
副業Aも副業Bも決まった曜日・時間に働く仕事だと、本業が忙しくなったときに調整できません。
一方をシフト型、もう一方を納期まで自分で作業時間を調整できる仕事にすると、繁忙期の調整がしやすくなります。
2つとも同じ弱点を持つ副業より、時間の使い方が異なる副業を組み合わせるほうが管理しやすい場合があります。
同じ集中力を使う仕事を連続させない
本業でパソコン作業を長時間行い、その後に副業Aでライティング、副業Bで動画編集をすると、仕事内容は違っていても同じような集中力を長時間使い続けることになります。
副業を2つ続けるなら、収入だけでなく身体的・精神的な負荷の種類も確認するとよいでしょう。
収入目的と将来目的を分ける
2つの副業に同じ役割を求める必要はありません。
例えば、副業Aは毎月の収入を確保する仕事、副業Bは将来の単価アップにつながるスキルを伸ばす仕事という分け方もできます。
副業Aと副業Bの役割を一言で説明できる状態にしておくと、「なぜ2つ続けているのか」が明確になり、不要な仕事を増やしにくくなります。
副業を1つに減らしたほうがよいサイン
副業を2つ掛け持ちできていても、ずっと同じ働き方を続ける必要はありません。
本業や生活環境が変わったときには、1つへ絞ることも合理的な選択です。
本業の繁忙期でも副業量を減らせない
本業が忙しくなることが分かっていても副業の仕事量を調整できない場合、負担が一気に高くなる可能性があります。
副業Aと副業Bのうち、仕事量を調整しにくいほうを把握しておくと、繁忙期前に判断しやすくなります。
管理時間ばかり増えている
仕事そのものより、連絡、請求、予定調整、案件探しに時間を使うようになった場合は注意が必要です。
複数の仕事を持つメリットより管理コストのほうが大きくなれば、収入源を整理したほうが自由時間や収益性が改善する可能性があります。
一方へ集中したほうが収入を伸ばせそう
副業Aと副業Bの両方が軌道に乗ってきた結果、「時間さえあればAの単価をもっと上げられる」という状態になることもあります。
この場合、2つあること自体が目的になっていないかを確認しましょう。
掛け持ちは収入源を増やす手段であり、2つ続けることがゴールではありません。
副業を2つ掛け持ちしている人によくある質問
副業を2つしていることは会社へ申告したほうがよいですか?
まず本業の就業規則や副業・兼業に関する社内ルールを確認します。届出制や許可制などの手続きが定められている場合は、そのルールに沿って対応する必要があります。
特に他社でも雇用される副業の場合、労働時間管理との関係もあるため、自己判断だけで処理しないことが重要です。
副業Aと副業Bの合計所得が20万円を超えたら確定申告ですか?
副業の契約形態によって判定方法が異なります。
給与以外の所得だけであれば合計所得金額が判断材料になりますが、副業の一方または両方が給与の場合は、年末調整されなかった給与収入などを含めて確認する必要があります。
副業が2つとも業務委託なら労働時間を通算しますか?
雇用ではない自営業・フリーランスの仕事は、労働基準法上の労働時間通算とは基本的に扱いが異なります。
ただし、契約書上は業務委託でも、実際の働き方によって労働者性が問題になるケースがあるため、契約名称だけで判断しないことが大切です。
副業2つの銀行口座は分けたほうがよいですか?
必ず副業ごとに別口座を作らなければならないわけではありませんが、少なくとも本業の生活費と副業関連のお金を区別できる状態にすると管理が楽になります。
副業Aと副業Bについては、帳簿や表計算ソフトなどで収入と経費を分けて記録できれば、収益性を比較しやすくなります。
副業を2つ続けるか1つに絞るか迷ったら何を基準にすればよいですか?
収入だけでなく、実際に使っている時間、本業への影響、疲労、将来性、スキル、管理の手間を比較します。
特に「収入は少ないのに時間と管理の負担が大きい副業」がある場合は、縮小や終了を検討する判断材料になります。
40代から副業を2つ続けるなら何を最優先すべきですか?
収入を最大化することより、継続できる働き方を作ることを優先するとよいでしょう。
本業、副業A、副業Bの3つだけで予定を組まず、睡眠や休息、家庭の予定まで含めた状態で余裕があるかを確認することが重要です。
副業を2つ掛け持ちするなら時間と収入を一緒に管理しよう
副業を2つ掛け持ちすること自体よりも重要なのは、本業を含めた3つの仕事を自分で管理できているかです。副業Aと副業Bの収入だけでなく、使った時間や経費、疲労まで分けて確認すると、続ける価値を判断しやすくなります。
特に40代で本業の責任や生活上の予定が増えている場合、空いている時間をすべて副業へ使う方法は長続きしにくくなります。副業をしない日や予備時間を先に確保し、忙しくなったときに削る副業を決めておくことが大切です。
また、2つの副業が給与なのか業務委託なのかによって、労働時間、確定申告、社会保険の扱いは変わります。収入額だけを見るのではなく、契約形態と制度上の扱いまで整理したうえで、自分にとって無理のない掛け持ち方を選びましょう。



